バンショ和ゲゴヨウ

注目論文ツイート中の人がつづる自然科学の解説拠点

分子の極性が原子間力顕微鏡で見えた

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 本当に大切なものは目に見えません。野に咲く花が色とりどりであったとしても、夜空に瞬く星々が輝かしいものであったとしても、肉眼には限界があります。より遠くを見ようと望遠鏡が登場したのと同じように、より小さなものを見ようと顕微鏡は改良が続けられてきました。そして、最新技術は、分子の周りをめぐる電子の分布までをも見通そうとしています。

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アクチンとチューブリンの両取り戦術!海産天然物アプリロニンAは二段構えで細胞骨格を破綻させる

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 将棋を指して、桂馬で飛車角両取りを掛けられると、「やられた!」とか「悔しい!」と感じます。がん細胞に有毒な天然化合物の中には、これと同じように、細胞骨格を構成する2種類のタンパク質、アクチンとチューブリンを狙って両取りを掛けてくる、効き方の賢いものがあると、最近*1になって分かりました。アメフラシという海の生き物から見つかったアプリロニンAという物質です。

*1:"Inhibition of Microtubule Assembly by a Complex of Actin and Antitumor Macrolide Aplyronine A." Masaki Kita et al. J. Am. Chem. Soc. 2014 DOI: 10.1021/ja406580w

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自然界への挑戦!テルペン環化を人工の超分子空間で

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 テルペンのなかまには、よい匂いがして香水に使われるなど、さまざまな機能成分が多く知られています。テルペンのなかまを化学合成するちょっとトリッキーな方法が、新たに報告されました。「超分子」というものを、使うというのです。

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イカしたカラストンビの作り方が分かったゲソ

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ヒトの身体で最も硬い場所は歯です。では、イカの身体で最も硬い場所はどこでしょうか。その硬い部分のできる仕組みが、最近になって分かったそうです。

 

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ピンチになると本性が!ヒツジには協調性がないと判明

ジコチュウ万歳!?

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 わたしたち人間は、家族や会社、学校や研究室など、いろいろな枠組みで、互いに協力しあって生きています。ヒト以外の動物でも、群れを作るなど、ある種の協力関係を築く場合があります。ヒツジは群れでいることが好きです。

 ヒツジの場合、この群れが協調性を反映したものでは、必ずしもないと分かりました。

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