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チョコレートを食べてノーベル賞を取ろうぜ!

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チョコレートには、気休め程度ではあるけれども恋の媚薬成分が含まれると一部で信じられ、2月14日のバレンダインデーには女性から男性への贈り物にされます。実は、このチョコレートの消費量と、人口あたりのノーベル賞受賞者数の間には、密接なつながりのあることが示されています。チョコレートで頭がよくなったら素敵ですよね。

  • べっべつにチョコレートがほしいわけじゃないんだからねっ!

チョコレートは、よく知られたなじみの食べ物です。カカオの果実にある種子を発酵の後、焙煎。脂肪分はココアバター、残りがココアパウダーになります。これに、ミルクや砂糖を加えて、かためたものが、チョコレートです。チョコレートには、カフェイン・テオブロミン・チラミン・フェネチルアミンなどの成分が含まれます。この中には医薬品と同じ成分のものもあります。何か頭が良くなる効果もあってよさそうなものです。

 

  • 方法

チョコレートで賢くなることはあるのでしょうか。チョコレートをよく食べる国はノーベル賞を多くもらっているのか判断するために必要な情報は「チョコレートの消費量」と「人口」、そして「ノーベル賞の受賞者が何人ずついるか」です。「チョコレート消費量」は各国の統計から。「人口」も各国の統計から。「ノーベル賞受賞者数」はウィキペディアにあるリストから。

A list of countries ranked in terms of Nobel laureates per capita was downloaded from Wikipedia (http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_Nobel_laureates_per_capita).

なっ!ウィキペディア……だと!

こういうときは、例え権威ある学術雑誌であっても、ウィキペディアを引用したものが受理されるんですね。へぇー。通常、論文の参考文献リストに、ウィキペディアは使わないので、新鮮な印象を受けます。

 

  • 結果

横軸にチョコレート消費量、縦軸に人口あたりノーベル賞受賞者数を取ったグラフがこちら。かなり綺麗に正の相関が見て取れます。ノーベル賞をあげる国であるはずのスウェーデンだけ外れていますけどね。

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(論文[1]を参考に作成)

  • 考察

 論文を見ると「相関関係は因果関係の証拠にならない」ということを認めた上で3つの考察をしています。

 まず第一に、スウェーデンノーベル賞をもらいすぎだよね、という指摘。そりゃそうだ。

 そして第二に、「チョコレートの消費が多いからノーベル賞の受賞が多い」か「ノーベル賞の受賞が多いからチョコレートの消費が多い」かのどちらか2択ならば、前者の方がもっともらしいよね、という指摘。いや、もちろん、だからチョコレートで賢くなる、とは言っていませんよ。

 最後の第三に、「チョコレートの消費」と「ノーベル賞を受賞した数」がこんな綺麗に相関するなんて、各国の経済指数や、カカオ生産国との位置関係、気候などでは説明できそうにありませんよ、という指摘。いや、もちろん、だからチョコレートで賢くなるとは、言っていませんよ。

 

 

チョコレートを食べて賢くなったらいいですね。信じて食べればプラシーボ効果くらいは効き目があるかもしれませんよ。

 

  •  アンケート

  • 参考文献・ウェブサイト

[1] "Chocolate Consumption, Cognitive Function, and Nobel Laureates." Messerli FH New Eng. J. Med. 2012 http://dx.doi.org/10.1056/NEJMon1211064